みんなの 講座

「ナニナニを1とすると…」
算数を勉強している(してきた)人であれば、
おそらく何回かは耳にしたことのあるフレーズだと思います。
算数の先生たちは、このフレーズをあまりにもあっさり使います。
でも、算数が得意でない人は、もしかするとこんな疑問をお持ちかも知れません。
「どうしてナニナニを1にするの???」
この痒(かゆ)みが取れないために、算数アレルギーな人って、
意外と多いかも知れませんね。
自分がわかってるからって、勝手にナニナニを1にしてきた算数の先生たち!
ボクも含めてちょっと反省してみましょうよ;^^)
1といえば、1枚、1台、1羽、…のように、
ある単位をつけて、その個数が一つであることを示す1があります。
これはものの数を数えるときの最低基準になる1です。
1cmとか1gになると、これは0.4cm、0.6gのように小数もあるので
最低の基準とはいえなくなくなりますが(整数としては最低の基準)、
単位をつけることで長さや重さという量を表す1になっています。
1が表すものは具体的な量ですね。
しかし、この講座の冒頭に書いた1は、単位をつけてものの数を数えたり、
具体的な量を表したりする1とは意味の違う1なんです。
ではここから冒頭の1について会話調の説明でいきます。
ボクの割合の授業が行われている。個人授業で生徒は1人。
生徒「さん先生、そこって必ず1にするんですか? 別の数じゃダメですか?」
さんじゅつまん「1以外の数でも無理すれば何とかなるけど、いま勉強している割合では、
もとにする量を1で表すのがうまい方法なのね。別の数にしちゃうとだいぶおかしくなるんですよ。」
生徒「どうおかしくなるんですか?」
さん「割合って2つの量を比べることでしょ? 2つの量のうちどちらかがもとにする量、
もう一方が比べられる量なんだけど、その2つを比べられる量÷もとにする量のように
わり算して割合を求めるという時点で、もとにする量は自然に1になっちゃってるわけよ。
だから1にしないと自然の流れにムリヤリ逆らってしまうことになるんだ。わかる?」
生徒「う〜ん、よくわからないです……」
さん「じゃあ簡単な例を出そうか。あなたの体重が32kgで、お父さんの体重が80kgとしよう。
このとき、お父さんの体重に対するあなたの体重の割合は?」
生徒「え〜と、〈お父さんの体重に対する〉ということは、お父さんの体重がもとにする量
だから、32÷80で0.4かな」
さん「そうそう。そうやってお父さんの体重に対するあなたの体重の割合を0.4と求めたとき、
これはうっかり忘れてしまいそうなことなんだけど、
お父さんの体重はこっそりと1になってるのさ。2人の体重を比で表すと32:80=2:5でしょ?
じゃあそれと比を合わせて0.4:□=2:5が成り立つように□を考えてごらん?」
生徒「え〜と、0.4×5=□×2だから□は1になりますね。」
さん「うん。だから比べられる量の割合を求めたとき、もとにする量は1必ずなのさ。
でもこのことは当たり前のことというか、自然に感じて自然に理解してほしいことだから、
算数の先生たちも毎回は言わないだろうし、問題にもいちいち書いてないのよ。」
生徒「目立たないけど意味のある1なんですね〜。」
さん「そうそう。そしてもうひとつ。もとにする量が1になっているから、
割合が倍率として使えるわけね。
お父さんの体重が1、それに対するあなたの体重の割合は0.4。
それは、あなたの体重がお父さんの 0.4倍であることを示している。」
生徒「なるほど〜。そういえばさん先生が前に〈割合の単位は倍〉って
おっしゃってましたよね。確かに割合には倍いう単位をつけるとわかりやすいです。
80kgの0.4倍で私の体重になるもんね。」
さん「うんうん。もとにする量×割合=比べられる量だよね。
実際の問題では割合の倍という単位は、ついているときとついてないときがあるんだけど、
もしついてなくても、あなたが割合に慣れてくれば、割合の数を見間違うことは
ないから心配いらないよ。ついてなくても頭の中ではつけて考えてみるといいかもね。」
生徒「なんかだいぶわかってきました。でも、さん先生、どうして私の体重知ってたの?
あれ?あれ?さん先生どこ?」
走り出す生徒。さん先生の姿は見えない。生徒たまらずに泣き出す
泣かないか、、、;^^)
*実際問題として、割合の単位「倍」が省略されることは多いです。
特に1より小さい割合では90%省略されますね。
1より大きい割合ではついていることも多いですが絶対ではありません。
日本語表現の兼ね合いでこのあたりはまったく不統一です。
「倍」という単位がついていてもいなくても、それが割合を示す数であることを
きちんと理解することがとても重要なことだと思います。
このように、冒頭に書いた1とは、もとにする量を表す1なのです。
ココを割合のもとにする量にして考えてみようというときは、
どこに登場させてもよい変幻自在の1です。
ありさんの長さが1でもいいし、地球から冥王星(*)の距離が1でもいい。
今度みなさんの算数の先生が、「ナニナニを1とすると…」と言ったらね、
みなさんの頭の中では「ナニナニをもとにする量とすると…」って変換して、
授業の続きを聞くようにしたらいいんじゃないかな。
最後にもう一度、この講座のポイントを書いておこうと思います。
★比べられる量の割合を求めるとき、
その前提としてもとにする量は必ず1になっている
(目立たないことだが常に頭に入れておく必要あり)
★割合にはいつも倍という単位をつけて考えると
もとにする量×割合=比べられる量のイメージがしやすい
今回は、いつもと違う雰囲気で講座を書いてみました。
雰囲気が違うついでに、今回の宿題はナント算数ではなく国語です。
たまには、こんな回があってもいいですよね。
(*)冥王星が惑星から除外されたそうですね。先日友人の花摘さん(共著)にその話を詳しく聞きました。
ボクの意見は「これまでの経緯や功績を認めて、例外的に惑星に残してあげてほしかった」なのですが、
花摘さんは「冥王星だけをひいきして惑星のまま残しておく定義ができないのだ」と熱く語っていました;^^)
|