みんなの 講座

前回第65講の続きです。

前回は、このような立方体の周囲辺上に任意の3点を与え、
その3点を含む平面で、立方体を切断したときの切り口を考えました。
まだお読みでない方は、先に第16講を読んでくださいね。
3つのレジュメと1つの反則がありました。再掲します。
レジュメ1
立方体の同じ側面上にある2点は直接つないでよい
(立方体には6つの側面がある。2点が、どの側面上にあってもつないでよい)
反則
立方体の同じ側面上にない2点を直接つないではいけない
レジュメ2
平行に向き合っている立体の面においては
切り口の辺も平行に向き合う(平行な面に切り口の辺が存在するとき)
レジュメ3
切り口を答えるときは、もっともふさわしい図形名で答える
(平行四辺形を四角形、二等辺三角形を三角形などはNG!)
前回は、前編ということで、意図的にこれらのレジュメ(と反則)だけで
対処できる4問を扱ったのですが、今回はこれらのレジュメ(と反則)だけでは
対処に困るパターンを扱ってみます。
問題は前回と同様です。
カラー表示の赤い点は立方体の頂点、青い点は立方体の各辺の中点、
緑色の点は立方体の各辺の3等分点(下寄り)を表しています。
次の図5・図6の立方体について、与えられた3点を含む平面で切断したとき、
切り口はどのような図形になりますか?

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まず図5から解説しますが、図5のためにレジュメ4が登場します。
レジュメ4
立方体の平行な面に切り口の平行線を引くときは、
相似形を考え、切り口の通過点を算出する

上の図が、図5の解答図です。
まず、レジュメ1の定跡通り、AとP、AとQを連結させます。
当然PとQは連結できない(反則参照)ので、
レジュメ2より、右側の正方形CGHDに、APの平行線、
手前の正方形BFGCに、AQの平行線を引くことになります。
上の図では、手前と奥の正方形に、1辺の長さを3とした場合の
数値が記入してありますが、
手前の正方形BFGCに、Pを通るAQの平行線PRを引くとき、
△AQDと△RPFは相似になるので、AD:DQ=RF:FP=3:2
いま、FPの長さは1ですから、RF:1=3:2
よって、RF=1.5と計算できます。
1.5は3の半分ですから、RはFGの中点であることがわかります。
APの平行線QSを引くときのSの位置もまったく同様です。
このことから、立方体の切り口がR、Sを通過していることがわかり、
R、Sは立方体の同じ側面上の2点なので、
レジュメ1により連結できます。
図5の切り口が判明しました。
図5の立方体の切り口は、AP=AQ、PR=QSで、
さらにAPとQS、AQとPRが平行になっているような、
左右対称な貝殻(かいがら)型の五角形です。
※特に固有の名称はないので、試験では単に五角形と答えてよいです^^
次に図6を解説しますが、図6を解くためにレジュメ5が登場します。
レジュメ5
与えられた図の中だけで切り口の作図ができないときは、
与えられた立方体の辺を延長し、側面を広げて考えてよい

問題で与えられた3点は、P、Q、Rです。
レジュメ1より、PとQをストレートにつなぐことができますが、
その後は、次のような方針で進めます。
PQを両側に延長し、CBの延長との交点をX、CDの延長との交点をYとします。
(延長した立方体の辺は赤、切り口の辺は薄いブルーで示してあります)
すると、切り口の1辺であるPQがXYまで延びたことになり、
Xは立方体の手前の側面BFGC上の点ですから、
(正確には立方体の手前の側面BFGCを広げた面上の点)
XとRは同一平面内の2点となり、レジュメ1により連結することができます。
XとRをつなぐ直線は、ちょうどBFの中点を通過し、
CGの延長上に到達します。(Z)
切り口の通過点が、立方体の各辺の中点になることは、
図の中の各所にある三角形(たとえば△APQ、△BPX
etc)が
すべて合同な直角二等辺三角形(45°定規)であることから確認してください。
ここまで進めば、あとはもう簡単です。
大いに立方体の左右対称性(*)を利用しましょう。
立方体は、対角線AC(面AEGC)を境にして左右対称ですから、
その対称性を考えれば、点Yの周りでも点Xの周りと同じ作図ができますし、
対角線CF(面CDEF)を境に対称と見れば、点Zの周りでも同じ作図ができます。
<補足>立方体の左右対称性(*)について
ある面を対称に左右対称な立体を、面対称な立体といいます。
厳密には、面対称という用語は算数には出てきませんが、
細かい用語の定義は別にしても、「図6の立体が面AEGCを境界に左右対称である」ことは、
ぜひとも利用していただきたい大切な事柄です。左にX、右にYの左右対称です。
左をX、右をZの左右対称とみるなら、境界はどの面ですか?
また、左をZ、右をYの左右対称とみるなら、境界はどの面ですか?(解答はコラムの最後)
少し後半の解説を急ぎましたが、図6の切り口が判明しました。
図6の立方体の切り口は、すべての辺の長さが等しい正六角形です。
この正六角形が、立方体を2つのまったく合同な立体に切り分けている
ことはすごく有名です。
そう、切り口の正六角形の前後にある立体は、同じ立体になるんですね。
<解答整理>
図5 AP=AQ、PR=QS
さらにAPとQS、AQとPRが平行になっている五角形(貝殻型)
図6 正六角形
いかがでしたか?
前回よりは複雑な切り口でしたが、貝殻型の五角形や正六角形。
なんかすごく美しい切り口でしょう? 見とれちゃいますよね。
中学や高校の数学では、これらの切り口の面積を求めたりする勉強もしますが、
算数ではルート(√)が使えないので、そこまで踏み込んだ勉強はできませんけど、
どのような切り口になるかを答えさせる問題は、いろいろな学校で出題されて
いますから、どんな3点が与えられても、しっかり切り口が書けるように、
ご家族やお友だちで、いろいろな3点を与え合って練習してみてくださいね。
では最後に、立方体の切り口として入試によく出る図形を挙げておきましょう。
作図とは逆に、どのような3点が与えられたときに、そのような切り口になるか?
それを考えてみるのも勉強になると思います。
[入試によく出る立方体の切り口図形]
三角形・・・二等辺三角形、正三角形
四角形・・・正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、(等脚)台形
多角形・・・貝殻型五角形、正六角形
※これ以外にも、一般の(普通の)三角形〜六角形は切り口として可能。
ありそうでないのは正五角形。また、七角形以上の多角形は不可能。
それではまた楽しくてためになる次回の算数物語で
みなさんにお目にかかりたいと思います。どうぞそれまでお元気で!
<補足の問題>
面CDEFを境界にして、左にX、右にZの左右対称です。(X、Zの左右は便宜上)
面CBEHを境界にして、左にZ、右にYの左右対称です。(Z、Yの左右は便宜上)
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