みんなの 講座

算数の入試問題にも、時代に即した新傾向のブームがあります。
よく言われるのは、上位の難関校が先駆けとなって新問題のスタイルを切り拓き、
中堅以下の学校がそれをマネして追いかけていくという図式ですね。
それとは別に、いつの時代も変わりなく、安定して出題される問題もあります。
今回紹介する問題は、そんな歴史的安定感のある問題です。
今までに何百問作られたかわからないほど人気がありますよ。
つまり、みなさんの受ける模擬試験や入学試験でも、
きっと見かけることになるでしょう。
そんなときのために、少しでもこの講座が役に立てたら嬉しいです。
では、さっそくまいりましょう。今回は、こんな問題です。
下の図のような長方形の辺の上を、点Pは辺AD上を、点Qは辺BC上を
それぞれきまった速さで往復しています。
また、2点P、Qを結ぶ直線の左側の図形をSとします。
点Pが点Aを、点Qが点Bを同時に出発し、点Qが一往復する間の
図形Sの面積は下のグラフのようになりました。


(1)点Pと点Qの速さの比を求めなさい。
(2)15秒後の図形Sの面積は36cm2でした。
長方形ABCDの面積を求めなさい。
(3)図形Sが長方形となるのは何秒後ですか。
すべて求めなさい。
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問題の状況は飲み込めましたか?
長方形の上の辺をPが動き、下の辺をQが動きます。
PとQは同時に出発しますが、速さが違うので、線分PQが斜めになるように
PとQの位置がズレていきます。
そしてそのときに、線分PQの左側にできる図形がSで、
その面積がグラフで与えられているわけです。
では、これからボクがみなさんに素朴な質問をしますので
ちょっと考えてみてください。
<素朴な質問>
PとQってどっちが速いんですか?
また、それはどうしてですか?
<素朴な質問/答え>
速いのはPです。
しかし、その理由は問題図でPがQより右に書いてあるからではありませんよ。
PとQは頂点に到達すると折り返しますから、もしかすると、Qが一度Cに到達し、
折り返して戻ってきたあとの図かも知れません。
算数の問題では、理由もないのに図だけで大切な判断をしてはいけません。
では、Pの方が速い本当の理由は?
問題文をよく読んでください。
上のグラフはQが一往復する間のグラフと書いてあります。
つまり、Qは一往復に30秒かかっている。すると片道が15秒ですから、
その前の10秒のときに、グラフが変化しているのはなぜか?
と考える。
そうそう、10秒のときにPがDに到着したからグラフが変化するんですね。
片道10秒のPと、片道15秒のQ。当然Pの方が速いわけです。
そしてこのことで、(1)の答えがわかります。
(1)
片道という等しい距離を、Pは10秒、Qは15秒かかるので、
(速さの比)は(時間の比)の逆だから、
Pの速さ:Qの速さ=15:10=3:2 ← (1)の答え
このような問題にあたる場合、実際に出題される設問は限られていますが、
その設問だけを解いて満足してはいけません。たとえ設問になくても、
いろいろなことを考えてみるのが、とても勉強になるのです。
たとえばボクが出題者だったら、
線分PQによって左右に分けられる2つの図形の面積が
等しくなるのは何秒後ですか?
こんな設問を作るかも知れませんよ。
難しい学校なら、もっと手ごわい設問を用意することでしょう。
このタイプの問題は、条件を決めてしまうと設問がたくさん作れるんです。
それがこのような問題のなくならない理由の1つでしょうし、
だからこそみなさんも、そのとき与えられた設問だけをクリアーして、
それだけで満足していたらいけないのですね。

さて、上のグラフの変化点に、ア〜エのカタカナをつけてみました。
それぞれの箇所で何が起こったか、整理し直してみましょう。
◇グラフのアで起きたこと(10秒後)
点Pが点Dに到着しました。
点QはBC上のBから2/3の地点でCに向かっています。
(速さの比3:2が利用できます)

◇グラフのイで起きたこと(15秒後)
点Qが点Cに到着しました。
点Pはすでに折り返し、DA上の中間点でAに向かっています。

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ここまで考えると、問題(2)の答え、
さらに問題(3)の答えの1回目が出せます。
(2)
問題の条件に、15秒後のSの面積が36cm2 とあります。
15秒後のSの面積は、上の2つめの図に示したように長方形ABCDの3/4だから
(斜線で1/4ずつに区切ってあります)
長方形ABCD=36÷3/4=48cm2 ← (2)の答え
(3)
図形Sが長方形になるのは、Pの真下にQがくるときです。
そのような状態になる1回目が、アとイの間にあります。
10秒後にPがDを折り返すと、PとQは向き合って進むことになり、
10秒後のP、Qの隔(へだ)たりを<1>とすれば、
Pの速さ:Qの速さ=3:2より、
Pが<3/5>、Qが<2/5>の距離を進んだところで、
PとQが出会う(Pの真下にQがくる)はずです。
Qは<1>の距離を進むのに5秒(10秒後〜15秒後)かかりますから、
<2/5>の距離を進むには2秒かかり、
このことから、Pの真下にQがくるのは、
10+2=12(秒後)
とわかります。 ← (3)の答え/1回目
◇グラフのウで起きたこと(20秒後)
点Pが点Aに到着しました。この後、2回目の往復を始めます。
「一往復で終わり」とは問題の条件にない!注意してください。
点Qはすでに折り返しを終え、CB上の1/3の地点で
Bに向かっています。

◇グラフのエで起きたこと(30秒後)
点Qが点Bに到着しました。
ここでグラフは終了しています。
点Pは2度目のD地点に到着しています。

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ウとエの間に、(3)の答えの2回目があります。
20秒後にPがAを折り返すと、PとQは再び向き合って進むことになり、
20秒後のP、Qの隔(へだ)たりを[1]とすれば、Pの速さ:Qの速さ=3:2より、
Pが[3/5]、Qが[2/5]の距離を進んだところで、Pの真下にQがくるはずです。
Qは[1]の距離を進むのに10秒(20秒後〜30秒後)かかりますから、
[2/5]の距離を進むには4秒かかり、
このことから、Pの真下にQがくるのは、
20+4=24(秒後)
とわかります。 ← (3)の答え/2回目
以上で、問題はすべて解決しました。
あまり突っ込んだ設問もなかったので、ラッキーだったかも知れません。
ちなみに今回の問題は、東京都/吉祥女子中学の入試問題でした。
吉祥女子は、偏差値が高いわりに、とても素直で親切な問題の多い学校なので、
ここで使った問題も例外ではなかったようです。
しかし、意地悪な学校なら、もっと解きにくい設問をたたきつけてくるはず!
途中にも書きましたが、もともとの設問にないことでも、自分で新しい設問を
作ってみたりして、考えれば考えるほど勉強になると思いますよ。
それでは今回はこのへんで! また次回の講座でお会いしましょう。
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